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A Pattern Language


《A Pattern Language, Christopher Alexander et al., 1977》

この本は、誰でも建物の設計や地域環境を改良することができる「手引書」としてつくられたものです。もちろん、この本一冊で全てを仕上げることができるとは思わないのですが、建物やコミュニティをデザインする上で、重要となる考え方を手軽に学ぶことができる本であると思います。

この本の本質を端的に表した文章が、本書のカバーに記載されているので簡単に紹介します。次のとおりです。

この本の核心となる考え方は、人びとは自宅や街路やコミュニティを自らの手で設計すべきだというものである。このような考え方は急進的かもしれないが、それは単に、世界の美しい場所のほとんどが建築家以外の人びとによってつくり出されたという事実から生じるものである。もうひとつの核心は、環境を設計する際には、人びとは普通言語のようなある種の「言語」に頼っており、一貫性の生まれる一種の文法を用いて、デザインの無限の多様性を分化し、伝達することができるのである。本書に示すのは、このような言語である。[ 日本語訳『パタン・ランゲージ − 環境設計の手引』(鹿島出版会)より引用 ]


以下、ネクスト・ホール・アース・カタログの217ページに掲載されている、Ernest Callenbach による書評です。

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この小さくて分厚い本は、大興奮するほどのものが詰まっている。そのため、充実した書評を書くのはとても難しいことである。本当に素晴らしい本であることは間違いない。建築的思考を鼓舞する冒険であるし、気持ちを高ぶらせるし、実習のための刺激になる。

このプロジェクトは、建物やコミュニティに対して、人びとが本当に何を必要としているのかを話し合い、それでいて私たち自身に着目し、たくさんの記念すべき出来事や文化から要素を導き出して、language(言語)を本気で確立しようとしている。そして、アレグザンダーと彼の同僚たちは、驚くほど冷静に、かつ確かな才気でこれを成し遂げた。この本に記されている253のパターン(手法)は、「室内空間の形状」もしくは「遊歩道」といった一般的なものから、「作り付けの座席」といった極めて特殊なものにまでおよぶ。いくつかのパターン(例えば、”raised walks(小高い歩道)” のように、自動車から歩行者を隔離することを推奨するもの)は、アメリカではほとんど知られていないし、一方で“car connections(車との接続)”のように、どこにでもあるが、うまくいっていないパターンもある。アレグザンダーたちの類い希な能力は、建築的思考ということで、流行のように一時的に商売に利用されるものは無視し、一方で、理解できて、しかも便利で、役に立つのか立たないのかをよく練った知恵を採用していることである。彼らは、大ざっぱなルールを定めることに消極的ではなかった。(例えば、深さ6フィート以下のバルコニーやポーチは、使い勝手が悪い。など)そして、それらの裏付けるために頻繁に文献を引用して、わかりやすいイラストを配置している。

この本は、建築や、何十年もかかる計画における最も重要なものであり、私的空間や公共空間において、まだまだ優雅に居住することができるという希望を与えてくれるランドマークとなるものだ。

[書評:Ernest Callenbach]

《THE NEXT Whole Earth Catalog, pp.217, 1980》

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